コレクションのこと

古書を速く美しくスキャンするための道具

入手した古楽譜や古雑誌は、表紙をスキャンしています。
パソコン上に表紙画像を並べて眺めるためです。
もちろん実物の楽譜や雑誌に触れて直接見るのは良いものですが、画像にすると大量に俯瞰して見られるので、別の楽しさがあります。

中身も部分的にスキャンしておくことがあります。
いつかは手放すかもしれないので、気に入ったページはデータにして持っておきたいのです。

そんなわけで、できるだけ美しいスキャン画像を残したいと思っています。
しかも手早く!私のコレクションは大量なのです…

ですが、それを妨げるのがスキャナーのカバーという存在。
これまで苦労させられてきましたが、最近になって良い方法を見つけました。

スキャナーのカバーが起こす問題

スキャナーにはいくつか種類がありますが、うちのは最も一般的な「フラットベッドスキャナー」。
ガラス面に対象物を伏せてのせ、下から光を当てて撮像していくタイプです。

このタイプのスキャナーには、対象物を上から押さえる「カバー」があります。
カバーはスキャン背景にもなるため、対象物に接する面は白色です。

私の用途では、このカバーが困りものでした。

フラットベッドスキャナー(出典:写真AC)

問題① 厚みがあると背景が暗くなる

コレクション用に美しくスキャンしたい私にとっては、これが最大の悩みでした。

スキャン対象が薄い場合は、問題ありません。
実際に、ペラペラなフランスアンティーク楽譜をスキャンしてみました。

薄い楽譜の表紙スキャン画像(上部のみ)

スキャナーカバーの白色が背景になっています。
純白ではないし、小さな汚れも写ってしまいましたが、このくらいは許せます。

でも、厚みのあるものだと、こうはいきません。
雑誌の表紙をスキャンしてみました。

厚みのある雑誌の表紙スキャン画像(上部のみ)

厚みのあるものだと、カバーがスキャナーのガラス面に密着しません。
そのために、ガラス面の下から照射する光が十分当たらず、背景が暗くなってしまいます。

あたたかみのある光に陰影が出ていたら美しいかもしれないけれど…
スキャナーの陰影は人工的で残念な感じです。

問題② 厚みがあるとカバーが壊れそう

これも、厚い雑誌をスキャンするときの問題です。

雑誌を開いてスキャンする場合、ガラス面に誌面を密着させる必要があります。
また、古雑誌はクセがついて反り返っていることもあります。
こういう場合、スキャン中はカバーを上から手で押さえないといけません。

厚みのある雑誌だと、かなり力を入れて押さえることになります。
カバーと本体をつないでいる蝶つがいに相当な負担がかかっていそう。
いつか壊れそうでした。

問題③ カバーの上げ下げが面倒くさい

私のコレクションは、雑誌と楽譜を合わせて、おそらく2~3千冊あります。
スキャンするときは、数十冊まとめてスキャンします。
つまり、スキャナーカバーの上げ下げも数十回することになります。

これが面倒なのです。
おまけに、うちのスキャナーはA3サイズで、しかも自動読み取り装置が搭載されたカバーなので、重たいです。

一時期、カバーを下げずにスキャンしていました。
うちのスキャナーの場合、カバーなしだと背景が茶色になります。
背景は白というこだわりはなかったので、それは良かったのですが…

カバーなしだと室内照明の影響を受けるので、背景色が安定しません。
1枚のスキャン画像内でも、左側は明るい茶色、右側は暗い茶色になったりします。

簡単な解決策があった

最近、ふと思いついた方法を試してみたところ、とてもうまく行きました!

カバーの代わりに布をかぶせる

スキャナーのガラス面より一回り大きい布を用意しました。
カバーは下げず、この布を雑誌や楽譜にかぶせてスキャンします。

カバー代わりの布

ユザワヤの「革調フェルト」です。
こんな理由で選びました。

  • 暗色なので陰影が出にくい
  • 光沢がないので光を反射しない
  • 毛羽立ちにくいので扱いやすい
  • ほつれないので、端から糸くずが出ることがない

先ほどの雑誌と楽譜をスキャンしてみました。
良い感じです。

薄い楽譜に布をかぶせてスキャン
厚みのある雑誌に布をかぶせてスキャン

重たいカバーの上げ下げもしなくて良くなりました。
代わりに布をめくる・かぶせる必要はありますが、カバーの上げ下げよりは手軽です。

板と取っ手を付けると便利

布だけでも十分に良かったですが、欲が出ました。

上から押さえてスキャンするときのために、布に板を貼り付けてみました。
板を貼ったことで、布だけだったときより持ち上げにくくなってしまったので、持ち手も付けました。

布の裏面に板と取っ手を貼り付け

雑誌などの上に置いたとき、布の端が自然に垂れ下がるようにすることがポイントです。
垂れ下がった布が室内照明を遮ってくれるので、背景色が安定します。

私は、布より一回り小さい板を使いました。
もしくは、板と布の全面を接着するのではなく、端を貼らないようにするのでも良さそうです。

取っ手は、タオル掛けとして売られていたものです。
お好みに合わせて、小さなツマミのようなものでも良いと思います。

板とタオル掛け、そして接着に使った両面テープは、すべて100均で買いました。


ふるよき

お読みいただき、ありがとうございました!

ビンテージには白背景よりも濃色の背景が似合いますよね。
簡単に作ったものですが、とても満足。
もう、これなしではスキャンできません。

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