ビンテージ雑誌・書籍

楽譜の雑誌『Sheet Music Magazine』

アメリカのビンテージ雑誌をあさっていて知った、おすすめ雑誌を紹介します。

今回は『Sheet Music Magazine』。
その名も「楽譜(シートミュージック)の雑誌」です。

今の日本の雑誌だと『月刊ピアノ』が近いでしょうか。
音楽や演奏テクニックなどに関する情報と、たくさんの楽譜が収録された雑誌です。

基本情報

創刊おそらく1977年1月(Volume数から推定)
廃刊?(2012年冬号までは確認できました)
発行サイクル*1~3月は月刊、4~9月は隔月刊、10~12月は月刊
廃刊までの数年:おそらく季刊
Volume開始月*1月
1冊価格*2.75ドル(現在の価値では7.25ドル=968円)
定期購読価格*9冊15.97ドル(1冊1.77ドル)
サイズ*約21×28センチ
製本方式*中綴じ(折り目2か所にホチキス)
広告*少なめ
*1986年の号を参考にしています。

特徴

この雑誌の最盛期は、おそらく1980~90年代だったのだろうと思います。
eBayに出品されているバックナンバーがこの年代に集中しています。

ここでは私が持っている1980年代の号をもとに、この雑誌の特徴を紹介していきます。

4つのエディション

この雑誌は面白いことに、以下4つのエディションが毎月発行されていました。
最初はStandard Pianoのみで、後に他のエディションが追加されていったようです。

  • Standard Pianoエディション
  • Easy Pianoエディション
  • Standard Organエディション
  • Easy Organエディション

同じ号のEasy PianoとStandard Pianoを見比べてみたことがありますが、ぱっと見はまったく同じです。
表紙デザインも同じ。収録曲も同じ。楽譜のアレンジだけが異なります。
気に入った号の4エディションすべてを集めてみる、というコレクションも楽しそう。

ちなみにEasyエディションがどれほど簡単かというと…
バイエル卒業レベル(←私のことです)でもストレスなく取り組めるレベルです。

たとえばBilly Joelの「New York State of Mine」は、原曲どおりだと、9小節のイントロに四音の和音や16分音符の飾り的フレーズなどが容赦なく出てきます。
それに対し、この雑誌の1987年2月号Easy Pianoエディションのアレンジでは、イントロはわずか4小節で、8分音符までしか出てきません。

メインは古い曲+新しい曲も少し

楽譜として収録されているのは、1920~50年代の曲が多い印象です。
昔の映画やブロードウェイミュージカルの曲、ラグタイムやジャズ、カントリーのスタンダードなど。
作曲家はばらばらですが、ガーシュインの曲はわりとよく載っています。

古い曲とはいえ、今でもよく耳にする曲もあるので、楽譜が載っているのは嬉しいです。
いくつかご紹介。

1980年3月号「Feeling Good」1965年にニーナ・シモンが、2005年にマイケル・ブーブレがカバーしてヒット
1984年3月号「Shall We Dance?」映画『シャル・ウィ・ダンス?』の主題歌で有名


もう少し新しい曲としては、レジェンドアーティストのヒット曲とか。

1983年8月号サイモン&ガーファンクル
「The Sound Of Silence」
1985年6月号キャロル・キング
「You've Got A Friend」
1988年8月号カーペンターズ
「For All We Know」


リアルタイムなヒット曲が載ることもあります。

1984年3月号アイリーン・キャラ
「What A Feeling」
1983年公開の映画『フラッシュダンス』のテーマ
1987年4月号ホイットニー・ヒューストン
「Greatest Love Of All」
1986年のヒット曲
1988年4月号フリートウッド・マック
「Everywhere」
1988年のヒット曲
1988年12月号ブレンダ・K・スター
「I Still Believe」
フィル・コリンズ
「Groovy Kind Of Love」
どちらも1988年のヒット曲

この時代の洋楽がお好きだった方には、とても楽しいと思います。

楽譜はソロ演奏用+ギターコード

掲載楽譜は基本的に、主旋律が右手、伴奏が左手のソロ演奏用です。弾き語り用ではありません。
ほぼすべての楽譜にギターコードが記載されています。

面白かったのは、1987年3月号。
珍しくクラシック曲が載っていたのですが、それもギターコード付き。
ギターコードが載ったチャイコフスキーのシンフォニーなんて、私は初めて見ました!

あくまでピアノ奏者とオルガン奏者向けの雑誌なのですが、こうやってギターコードが載っているし、簡単なギター指南記事やギター広告もあります。
だからでしょうか、表紙にはEasy Pianoエディションなら「EASY PIANO / GUITAR」、Standard Pianoエディションなら「STANDARD PIANO / GUITAR」と書かれています。

ピアノやオルガンを1人で弾いてもいいし、ギターと一緒ならもっと楽しめる雑誌です。


ふるよき

お読みいただき、ありがとうございました!

今、この雑誌に掲載されていた「I Still Believe」を練習中です。
当時大好きだったこの曲を今になって自分で弾けるとは思わなかったです。幸せ。

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