ビンテージ雑誌・書籍

1960年代アメリカ児童雑誌の懸賞企画

雑誌が行う読者プレゼント企画。
昔のアメリカ児童雑誌でも行われていました。

児童雑誌の誌面は全体にポップでカラフルですが、懸賞企画のページはさらに賑やかで楽しいです。
賞品には、当時の子どもたちが憧れていた製品が選ばれていたことでしょう。
そう思いながら眺めるのも、とても面白いです。

私の手元にある『The Golden Magazine』から、懸賞企画の情報を拾ってみました。
著作権の問題で、実際の画像は使わず、言葉だけでの紹介です。お許しを!

『The Golden Magazine』の懸賞企画

開催頻度

私の手元にある『The Golden Magazine』は、1966~1971年に発行されたうちの25冊。
そのうち、1966年9月号、1967年5月号、1969年9月号に懸賞企画が掲載されています。

25冊中3冊。
なかなかの高頻度で懸賞があったのかも?と思わせる割合じゃないでしょうか。

開催規模

この3回の懸賞は、いずれも賞品総額は約1万ドルでした。
これは高いのか、安いのか?
当時と現在の物価を考慮した上で、日本円に換算してみましょう…

まずは、1967年(昭和42年)の1万ドルを2022年(令和4年)の価値に換算。
CPI Inflation Calculator(https://www.officialdata.org/us/inflation/1967?amount=10000)を利用させてもらいました。

CPI Inflation Calculator

約8万6千ドルという結果です。

続いて、これを円に換算します。
Googleの為替計算機能(https://www.google.com/search?q=86079.04%E3%83%89%E3%83%AB)を利用させてもらいました。

Googleの為替計算機能

ということで、結果は約1,100万円。

今が円安(1ドル=127.94円)であることを考慮しても、意外に高額!と思いました。
参考までに、『月刊コロコロコミック』2022年5月号で実施されたプレゼント企画は、総額450万円分だったそうです。

なお、『The Golden Magazine』は1冊50セント。
上記と同様に現在の日本円に換算すると、約550円です。

応募方法

懸賞企画は、雑誌の後ろのほうに2ページ見開きで掲載されており、応募ハガキが綴じ込まれています。
ビンテージだとこういうハガキは抜き取られていることも多いですが、幸いにも1冊にハガキが残っていました。

ハガキの記入欄はこれだけ。

  • 住所、氏名、年齢
  • 定期購読者かどうか?
  • お得な定期購読を新規申込または延長するか?
    (Yesの場合は請求先住所や親の署名なども必要)

これを見たとき、スレた現代人の私は思いました。
こうやって定期購読者を増やしながら、今後の販促に使う未購読者の名簿も作っていたのだなと。

ところが、応募ルールを読んでみたところ…

  • 1人何通でも応募してOK
  • 綴じ込みの応募ハガキを使わず、適当な白紙に必要事項を書いて送ってもOK
  • 定期購読に申し込まなくてもOK

…だそうです。
同じ人が何通も応募できるのでは、販促用の名簿を作ろうにも、重複を取り除くのが大変すぎます。
かといって、応募ハガキ目当てで雑誌がたくさん売れるということもありません。
販促用の名簿を作ろうとか、応募ハガキをエサに雑誌を売りまくろうなんてことは、考えていなかったように見えます。

ただ、定期購読の申込や延長を迷っている人の背中を押す効果はあったことでしょう。
あとは、子どもたちが喜び、『The Golden Magazine』が話題になればそれで良し、ということでしょうか。

ちなみに、応募できるのは米国在住者のみ。
また、出版元と関係会社の従業員と家族は応募できません。

抽選方法

抽選は社内で行わず、外部企業が実施しています。

1966年と1967年の抽選をしたのは、Reiter-Ross Premium & Contest Division, Inc.という、独立系のコンテスト審査会社です。
社名をネット検索してみたところ、この時代にいくつかの雑誌の懸賞企画で抽選を担当していたことが分かりました。
それ以上の情報は出てこなかったので、今はない会社ではないかと思います。

1969年の抽選をしたのは、Elliot, Goodman & Russell, Inc.という、販売促進を手がける会社です。
これもネット検索しましたが、めぼしい情報は見つかりませんでした。

抽選後、当選者には主に郵送で通知されるようです。

賞品内容

賞品は電化製品が多いです。
あとは、自転車、時計、楽器、本など。
「楽しめる実用品」といったところでしょうか。

ありがちな「ぬいぐるみ」や「キーホルダー」など、かわいいけれど役に立たない賞品が一切ないところが面白いです。

3つの懸賞企画の賞品を見ていきましょう。
おまけで、シリアルのKellogg’s社の懸賞企画も紹介します。

1966年9月号「Golden Magazine Sweepstakes」

『The Golden Magazine』のマスコットキャラクターであるクラッキーくんからのプレゼント!という設定の懸賞。
クラッキーくんの好物であるクラッカーの缶から金貨が出てきたので、その金貨を全部使ってみんなにプレゼントをしてくれるそうです。

1等賞は航空券と宿泊滞在費のセットです。
アメリカン航空の協賛企画じゃないかと思います。
半ページを使い、どーんと飛行機の写真とロゴが掲載されています。

合計356人に賞品が当たります。

賞品

  • 1等 最大家族4人分の国内往復チケット+宿泊滞在費
  • 2等 ポータブルテレビ
  • 3等 ポータブルレコードプレーヤー
  • 4等 ポケットラジオ
  • 5等 ディズニー本セット
  • 6等 簡易カメラ

1967年5月号「Treasure Chest Sweepstakes」

これもクラッキーくんからのプレゼント。
クラッキーくんは宝の地図をたどり、金貨が詰まった宝箱を見つけたのだそうです。

これは企業協賛モノではないのかも。
特定企業を宣伝するような写真はなく、クラッキーくんと宝箱の大きなイラストが誌面を飾っています。

合計434人に賞品が当たります。

賞品

  • 1等 テレビ
  • 2等 自転車(男子用と女子用あり)
  • 3等 トランシーバーセット
  • 4等 テープレコーダー
  • 5等 ディズニー本セット
  • 6等 簡易カメラ
  • 7等 ポケットラジオ

1969年9月号「"TV Star" Sweepstakes」

クラッキーくん、今回は登場しません。

1等賞は、テレビドラマへの出演権と航空券と宿泊費のセットです。
テレビ会社と航空会社が協賛していそう。
番組名や出演者の写真とデルタ航空のロゴが掲載されています。

なんと合計1,000人以上に賞品が当たります。

賞品

  • 1等 テレビドラマへの出演権と、家族4人分のロサンゼルス往復チケット+宿泊費
  • 2等 ポータブルテレビ
  • 3等 電気オルガン
  • 4等 腕時計(男子用と女子用あり)
  • 5等 簡易カメラ
  • 6等 ハーモニカ

番外編 ― 1967年2月号掲載 Kellogg'sの「Sweet Eatin' Sweetstakes」

シリアルでおなじみのケロッグ社が開催した懸賞企画ですが、『The Golden Magazine』に掲載されていたので、ついでに載せておきます。

「○等賞」という仕組みではなく、買ったシリアルの種類によって応募できる賞が決まっています。

賞品

  • シュガー・フロステッド・フレーク賞 ウォーキートーキーセット
  • シュガー・スマック賞 ポータブルテープレコーダー
  • フルーツ・ループ賞 レコードプレーヤー付きテレビ
  • スター賞 ポータブルレコードプレーヤー
  • ココア・クリスピー賞 ポータブルラジオ
  • シュガー・ポップ賞 ラジオ付きウォーキートーキーベースステーション

ふるよき

お読みいただき、ありがとうございました!

懸賞の賞品については、またの機会にもっと掘り下げてみたいです。

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